大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島家庭裁判所 事件番号不詳 判決

本籍 兵庫県佐用郡中安村字宝蔵寺一七〇番地

住居 広島市大須賀町三七六番地

特殊下宿業 木南シズコ

大正十三年三月八日生

主文

被告人を罰金壱万円に処する。

右の罰金を完納することができないときは、一日二百円に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

被告人は、広島市大須賀町三七六番地において、特殊下宿業を営んでいるものであるが、昭和二十九年二月八日より同年三月十五日までの間、右自宅において児童である○田○子(昭和十一年三月十六日生)をして多数人を客として淫行をさせたものである。

この事実は、

一、山口県豊浦郡豊東村役場作成○田○子の身分事項回答書

一、検察事務官上田文一作成○田○子の戸籍謄本の抄本

一、司法警察員松岡謙二作成○田○子の供述調書

一、司法警察員山村利臣作成岡田滋の供述調書

一、同司法警察員作成被告人の供述調書

一、検察事務官熊谷和七作成被告人の供述調書

の各記載及び当法廷における証人○田○子、被告人本人の各供述によつてこれを認める。

被告人の右の行為は、児童福祉法第三十四条第一項第六号に違反し同第六十条第一項第三項に該当するものであるところ、本件児童は被告人方において淫行に従事する前昭和二十八年五月頃より約九ヶ月間保護者である母の承諾の下に小倉市の特殊飮食店において賤業に従事していたもので、本年二月七日頃同僚一人と共に金銭を所持せずして広島市に来り被告人方を訪ね、その窮状を訴え年令を満十八歳と詐り被告人方の接客婦たらんことを懇望したものであることが認められる。被告人は軽卒に児童の言を信じ、年令確認の手段を尽さずして児童の窮状に同情し淫行をさせるに至つたもので児童福祉法上の責任を免れ得ないのであるが、前記児童の性状、被告人が児童に淫行をさせるに至つた最初の動機、児童が被告人方に至つて後一ヶ月余にして満十八歳に達し今なほ被告人方で接客に従事している事情、被告人に犯罪前歴なく改俊の情も認められる点等を考慮し被告人を主文掲記の罰金刑に処するを相当と認め労役場留置につき刑法第十八条第一項を適用し主文の通り審判する。検察官山戸定立会

(裁判官 太田英雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!